株式会社カンベ自動車は創業以来、兵庫県加東市で地域に密着した自動車整備業を営んでいます。近年ではアウトドア事業である「C-Monkey」をオープンし、新たな挑戦を続けています。
今回は、代表取締役の神戸賢吾さんと奥さまの梨沙さんにお話を伺いました。
━━会社の歴史と背景を教えてください
(賢吾さん)
弊社は昭和48年に両親が創業した会社で創業以来、自動車整備業を主力事業として営んでいます。現在はレンタカー事業も展開しており、一般車両だけでなくキャンピングカーのレンタルも行っています。
━━キャンピングカーのレンタカー事業を始めたキッカケを教えてください。
(賢吾さん)
お客様からキャンピングカーの買取依頼があったのが始まりです。そのキャンピングカーを手放すのが惜しくて保管していたところ、事業再構築のタイミングで「キャンピングカーのレンタルを始めたら面白いのでは?」と思い、事業化しました。
━━アウトドア事業を始めたきっかけは何ですか?
(賢吾さん)
私自身がキャンプに興味があり、コロナ禍でのキャンプブームに影響されました。ブームはやや落ち着いてきましたが、キャンプという分野には長期的な需要があると考えています。
苦労の青春時代。亡き父の思いを受け継いで
━━事業を始めて印象的なエピソードはありますか?
(賢吾さん)
私がまだ高校生だった頃、父が早くに亡くなりました。元々は両親が2人で始めた事業で、いわゆる「まちの車屋さん」という小さな店でした。ところが、修理する人間が突然いなくなってしまったのです。母とお世話になっているお客様が助けてくれて、なんとか事業は継続できました。
その後、私は高校卒業後に専門学校へ2年間通って、整備士の資格を取得し、20歳で会社に戻ってきたのです。
━━若くして経営を任されて苦労はありましたか?
(賢吾さん)
最初の4〜5年くらいは失敗ばかりでした。自動車の知識は専門学校で詰め込みましたが、整備士としての経験がなく、毎日が挑戦の連続です。お客様から「ちょっと車の調子が悪いんで見てください」という電話は恐怖でした。でも、周囲の方々が支援してくれたおかげで何とかやってこれました。
━━どのくらいで経営が軌道に乗ってきたのでしょうか?
(賢吾さん)
「なんとかやっていけるかな」と思えたのは30歳くらいですね。今思うとディーラーで働いて、先輩から技術を学んでから独立する方が近道だったかもしれません。
当時はディーラーに電話して教えてもらいました。先方も忙しいのに協力的なディーラーさんはファックスで資料を送ってくれたり、いろいろなことを教えてもらったりして乗り越えました。
新たな挑戦。アウトドア事業への進出
━━アウトドア事業を始めて、どのような変化がありましたか?
(賢吾さん)
正直、最初は自動車整備業とは全く別の事業として始めようと思っていたんです。でも、実際にやってみると、「やっぱり車とキャンプを一緒にした方がいいな」と気づきました。
今ではカンベ自動車のお客様がC-Monkeyの方に来てくれたり、逆にC-Monkeyのお客様が車の整備でカンベ自動車を利用してくれたり、相乗効果が生まれています。
━━Instagramを拝見しましたが、ハイゼットのキャンピングカーが非常にカワイイですね
(賢吾さん)
ハイゼットは初めてイチから全部作りました。今までは中古のキャンピングカーを買って少し改造する程度でしたが、今回は配達で使われていた軽トラのハイゼットを完全に改造しました。
━━キャンピングカー製作でのこだわりは?
(賢吾さん)
こだわりは地元業者と連携し、内装や素材などもすべて加東市で調達しています。地域を盛り上げるため、地元を大切にしたビジネスモデルを心がけています。この地域を盛り上げるためには他に頼むのではなく、加東市でできることを考えました。
━━アウトドア事業で、何か失敗談はありますか?
(賢吾さん)
一番大きかったのは、ネット販売で詐欺被害に遭いました。商品を発送してしまい、後からカード会社に返金を求められました。この経験から、現在は大手ECプラットフォームを利用してセキュリティを強化しています。
また『不自然な注文』や『同じ住所に違う名前で届く注文』などは、とくに注意するようにしています。この経験は辛かったですが、良い勉強にもなりました。
地域との深いつながりと加東市への恩返し
━━地域との関わりについて教えてください
(賢吾さん)
私は多くの方に支えられてきました。今度は次世代にその恩を返す番だと考えています。「人のつながり」って、そうやって作られていくものだと思うんです。
ですから、地元の商工会やPTA活動にも積極的に関わってきました。商工会でもいろいろな役を引き受けたり、PTAの会長も小中高と全部やりましたね。仕事をしながらでしたから大変でしたけど、でも大切なことだと思っています。
━━今後、どのような人材を求めますか?
(賢吾さん)
「会社のために働きに来てほしい」というのが私の思いです。単に仕事のためだけじゃなく、カンベ自動車という会社のために尽力してくれる人材を求めています。
また弊社の魅力は自分たちで考えたことを、みんなで一緒に作り上げていけるところだと思います。みんなが働きやすい、そして成長できる環境を作ることが、結果的に会社の成長にもつながると信じています。
経理からアウトドア店長へマルチに活躍
続いて賢吾さんの奥さま、梨沙さんにお話を伺いました。梨沙さんカンベ自動車で経理をしながら、アウトドアショップ「C-Monkey」の店長も勤めており、マルチに活躍されています。
━━職場での経歴を教えていただけますか?
(梨沙さん)
私は結婚してすぐにカンベ自動車で働き始めました。最初は経理を担当していましたが、C-Monkeyがオープンしてからは、こちらの店長として働いています。
━━経理からアウトドア用品店の店長へ。大きな変化だったのではないですか?
(梨沙さん)
最初は戸惑いもありましたが家族でキャンプに行くのが好きだったので、その経験が活きています。お客様と話をする中で自分の経験を共有できるのが楽しいですね。
━━具体的な仕事内容を教えてください
(梨沙さん)
主に店舗の運営全般を担当しています。商品の選定や仕入れ、在庫管理や接客などです。お客様一人ひとりのニーズに合わせて、最適な商品をご提案するようにしています。
あとはSNSの運用も担当しています。インスタグラムでの情報発信は、お客様との大切なコミュニケーションツールだと考えています。
━━SNSの発信では、どのような点にこだわっていますか?
(梨沙さん)
まず当たり前かもしれませんが、商品がよく見えるように撮影しています。とくにキャンプ用品やキャンピングカーは、実際の使用シーンをイメージしてもらうのが重要です。
あとは商品の使用方法が分かるような投稿を心がけています。たとえば、キャンプギアなら設営や収納方法などを紹介したりします。お客様が「これなら自分にも使えそう」と思ってもらえるような内容を意識しました。
━━どんな時にやりがいを感じますか?
(梨沙さん)
お客様がリピートしてくれた時はとても嬉しいですね。「気に入ってもらえたんだな」って思います。また、新しい商品を仕入れて、それがお客様に好評だった時もやりがいを感じます。
━━仕事での成功体験を教えてください。
(梨沙さん)
じつは私、整備士の資格を取得しているんです。
━━整備士の資格取得は大変だったのではないですか?
(梨沙さん)
本当に大変で泣きながら勉強しました(笑)
整備は仕組みを理解するのが難しかったです。それまで車に興味がなかったけど、少人数のカンベ自動車で働くためには資格が必要でした。毎週日曜日に勉強会があって、約半年間で取得しました。
今は従業員が増えたので私が作業に入ることはありませんが、当時は簡単な整備や洗車などを手伝っていました。
━━アウトドア事業を始めていかがですか?
(梨沙さん)
最初はアウトドア事業を始めることも知らなかったので戸惑いもありましたが、家族で子どもを連れてキャンプに行ったりしていたので、そういった経験が生かせています。お客様と一緒にキャンプの楽しさを共有できるのが嬉しいですね。
━━今後の目標を教えてください
(梨沙さん)
まずは事業の継続をして、アウトドア事業をしっかり軌道に乗せたいです。そして、既存の自動車整備業とアウトドア事業の相乗効果を高めていきたいと考えています。
たとえば、キャンピングカーにC-Monkeyで販売しているギアを詰め込んで販売したいですね。そして、アウトドア用品の品揃えも増やしていきたいと思っています。
━━これから新しく入社する方に向けてメッセージをお願いします
(梨沙さん)
従業員の提案も積極的に取り入れて、みんなで一緒に会社を作り上げていきたいですね。「これやれ、あれやれ」じゃなくて、従業員が『自分で考えたことを皆で実現する』そんな環境を大切にしています。家族経営ならではの温かさがあると思うので一緒に働きましょう。
会社名 | 株式会社カンベ自動車 |
所在地 | 〒679-0206 兵庫県加東市穂積366 |
事業内容 | ・自動車整備 ・アウトドア用品販売 |
HP | https://www.kanbe-jidosha.jp/index.html https://camp-monkey.net/ |
TEL | 0795-48-2113 |
SNS | https://www.instagram.com/kambe237/ https://www.instagram.com/camp._.monkey/ |
※本記事に記載されている個人的な内容については、ご本人様の同意を得たうえで掲載しております。