三和電気商会|電設資材ひと筋で創業70余年。主な仕事は地域密着の営業活動、求めるのは「やる気のある、前向きな人」

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電気にまつわるあらゆる材料を扱う会社

帰宅して照明やエアコンのスイッチを入れ、スマートフォンの充電器をコンセントにさす。IH調理器でお湯を沸かしてコーヒーを淹れ、無線LANで接続されたパソコンで動画を視聴する――。

何でもない日常のように思うけれど、私たちが意識しなくても快適に暮らせるのは、「電気設備資材(以降、電設資材)」が働いてくれているおかげだ。

電設資材とは、ひと言でいうと〝電気にまつわる材料〟のこと。

大きな機器でいえば、照明器具や空調設備、分電盤(ブレーカーなどが搭載されている盤)などがそう。

小さな機器でいえば、電気のスイッチやコンセントの差込口など。さらに壁や天井の裏に隠れて見えない配線や電線、ビニールテープやネジといった消耗品も電設資材の一部だ。

照明がなければ部屋は暗いままだし、コンセントがなければ電子機器や家電製品を通電させられない。コンセントの差込口はあっても、壁の裏側に配線が引き込まれていなければそれはただの穴だ。

このように、電設資材は日常のあらゆる場所に組み込まれ、私たちの生活を陰で支えてくれているのだ。

電設資材ひと筋で創業70余年の老舗企業

戦後間もない1947(昭和22)年に加東市で創業した三和電気商会は、電設資材を取り扱う会社として70余年の歴史を守り継いできた。創業以来の「社会のお役に立つ」という思いのもと、電設資材の販売を通じて地域社会に貢献することを重視してきた。

三和電気商会が取り扱うのは家庭用もさることながら、オフィスや工場といった業務用の資材が多い。

具体的な取扱品目は、照明器具や換気空調設備はもちろん、配線・配管材、分電盤や発電機などの受電・高低圧機器、電線・装柱材、太陽光発電やオール電化システムといった住宅設備・環境省エネ機器、音響・通信・防災機器、制御機器、工具・計測器などと幅広く、総数は30万点以上。70年以上の歴史の中で国内主要メーカーと取引関係を築いてきたからこその豊富な品揃えだ。

こうした多種多様の電設資材をメーカーから仕入れ、自社倉庫に在庫し、地域の工事業者(電気工事、空調設備工事、弱電設備工事、配管工事など)を通じてエンドユーザーに納品する商社機能としての役割が三和電気商会の事業の中心となる。

固定客のニーズに応えるルート営業

三和電気商会に入社すると、どのような仕事に従事することになるのだろう。宮崎良平社長に伺うと、「固定客を中心としたルート営業が基本ですね」と答えてくれた。

「具体的には営業スタッフ一人ひとりが数社の固定客を担当し、定期訪問を重ねながらお客様のニーズにお応えするのが主な仕事です」

営業担当者の役割は3つあるという。1つ目は、メーカーから仕入れた資材を地域の工事業者である顧客に納品する役割。2つ目は、メーカーの新製品情報をいち早く入手し、顧客に提案する役割。そして3つ目は、地域の工事業者、メーカーそれぞれの情報やニーズを素早くキャッチし、双方にタイムリーに提供する役割。

つまり資材の仕入れと供給というモノの流通に加え、情報という無形の価値を地域の工事業者、メーカー、三和電気商会の3社で共有する役割を担っているのが営業職なのだ。

求められる〝情報ハブ〟としての役割

以上の3つの役割のうち、モノの供給と提案の重要性もさることながら、「情報の懸け橋としての役割が地域の工事業者、メーカーに対する付加価値の提供につながっている」と宮崎社長は強調する。

「たとえば今回のような新型コロナウイルス(2020年2月取材)が発生すると、中国で生産している資材の供給が遅れる可能性が出てきます。そこで当社の営業スタッフが各メーカーに状況を確認し、工事業者に早めの手配を勧めたりすることで、事態の悪化を最小限に食い止めることができるわけです」

あるいは照明器具がLEDに切り替わった時期や、太陽光発電の補助金制度が策定された時期なども同様、営業スタッフの〝情報ハブ〟としての役割が重宝された。

「メーカーの新製品情報や補助金・助成金などの国策情報をいち早く仕入れ、他社に先んじて活用できるかどうか。この素早い対応が先行者メリットを得られるかどうかを左右します。当社の営業スタッフの手腕が問われるところです」

豊富な在庫を武器とした即日出荷に強み

「地域に密着し、その地域に貢献できる企業であること」――この社訓のとおり、同社は創業地の加東市を中心とした北播磨を商圏として、〝地域オンリーワン〟を目指した販売・サービス体制の構築に力を注いできた。

さらに2007年には加古川営業所を、

2016年には姫路営業所をそれぞれ開設。

現在、北は丹波市、東は神戸市、南は加古川から明石まで、西は姫路から相生市まで、加東市を起点に商業エリアを広げることができてきた。

「商圏を拡大する努力は今後も続けていきますが、当社の強みを発揮できる範囲での展開が前提です」と語る宮崎社長。では三和電気商会の事業上の強みとは何だろう。

「それは自社倉庫に豊富な在庫をストックし、即日出荷も可能なスピーディーかつ安定感のある供給体制を整えていることです」

成熟社会を迎えた現在、企業各社は在庫などの資産を減らし、経営効率を高める努力に余念がない。少ない資産で稼ぐ力を高めていく、つまり持たざる経営にシフトしているのがトレンドといえるなか、あえて時代と逆行し、在庫を豊富に持つ目的とは何か。

「それは経営方針にも掲げている〝お客様第一〟の精神です。在庫を減らせば財務的にはメリットがあるかもしれませんが、その反面、お客様のニーズに応えられない場面が出てくるかもしれません。私たちの使命はご注文の商品を、ご指定の場所へ、ご希望のタイミングでお届けすること。これを実現するためにも在庫のストックは不可欠なのです」

部品がたった1つ、足りないだけでも現場の工事は止まりかねない。部品1個から即日納品可能――これは他社には真似できない三和電気商会の最大の強みであり、この強みを活かせることを前提に商圏拡大の戦略を練る必要があるのだ。

求めるのは「やる気があり、前向きな人」

ただし、事業規模の拡大は人材あってこそ。ところが全国的な人手不足の影響を受け、三和電気商会も人材が足りない状況が続いている。新卒採用の募集を毎年行うほか、中途採用の募集も通年で実施している。

求める人材像を宮崎社長に伺うと、次のように答えてくれた。

「やる気があり、前向きな人、これに尽きますね。経験の有無や学歴は一切問いません。やる気があれば、前に進んでいけますから」

年齢の希望としては、「20代~30代半ばまでの方」と同氏。若手であれば電設資材に関する知識がなくても、先輩との同行研修からスタートし、商品内容や営業方法を覚えていけるので心配ないとのこと。

40代の場合は「技術者などの経験者求む」だ。電気工事や施工管理の経験があれば、即戦力としての活躍の場が同社にはある。

地域密着だからこその「地元への思い」

三和電気商会は大手総合設備工事会社との取引もあるが、仕事の中心は地域の工事業者だ。

「大手から地域の工事業者まで、すべてのお客様が大切なのはいうまでもありません。そのうえで、創業地の加東市を中心とした地域密着で事業を展開していますから、やはり地域の工事業者との信頼関係は最重要課題です」

そう力を込める宮崎社長は「地元で仕事をしていると、お客様の喜びがダイレクトに伝わってくるんです。地元での仕事はやりがいや達成感が大きいですね」と話す。

「地元」というキーワードが出てきたので、加東市への思いを伺ってみた。

「まずは友人や地元の方に対する感謝ですね。仕事の面も含め、地元の生の情報を提供してくれるんです。情報は何にも勝る価値ですから。貴重な話を聞かせてくれるのは本当にありがたいです」

宮崎社長は2007年から2019年までの計12年間、加東市商工会の役員を務めてきた。

「私の父が加東市で創業し、この地で70年以上にわたり事業を続けることができてきました。今後も事業活動を通じて地元に貢献していきたい。それが加東市やその地域への恩返しになると思いますから」

経営者紹介

代表取締役 宮崎良平さん

夜中にかかってきた父からの電話

三和電気商会は先代の父が立ち上げた会社で私は二代目です。といっても最初は継ぐ気はなかったんです。大学を出たあと、当社の得意先である電設資材の総合商社・因幡電機産業でお世話になることになりました。以降、大阪で暮らしながら営業職として働き、そのまま勤め上げるつもりでした。

気持ちに変化が生じたのは入社5年目頃ですかね。夜中に父から電話がかかってきて、「今後も因幡さんでお世話になれ。帰ってこんでいい」と言うんです。詳しく聞くと、「もう会社を畳もうと思っている。売り上げも下がっている」と打ち明けました。

そんな弱音を吐かれると気になりますよね。そこで帰省して決算書を見てみると、このままでは本当に廃業してもおかしくない状態にまで業績が悪化していることが分かりました。

家業がなくなるのはやはり寂しいものです。父は私に継いでほしいとひと言も言いませんでしたが、三和電気商会の歴史を途絶えさせないために引き継ぐ決意を固めました。そして因幡電機産業を退職させていただき、29歳で加東市に帰省し、三和電気商会に入ったんです。1983年のことです。

工事屋から商社に業態転換

入社後、会社を立て直すために経営改革を断行しました。なかでもいちばん大きな改革は業態転換です。電気工事中心の業態から、商社機能を中心とした現在の業態に切り換えたんです。会社を再建するからには自分の得意分野で勝負したかったのが理由です。

加えて組織改革も行いました。たとえば仕事の流れを変えたり、若手を採用していったり……これまで父を中心に築いてきたものを崩すことになるので反発もありましたが、会社を残したい一心だったんです。

社員が喜べる会社をつくるのが経営者の使命

一連の改革の結果、電設資材の商社として、いわば第二創業を果たすことができたわけですが、その後、突然の事態に直面しました。

私が44歳の時に父が病気で倒れ、そのまま帰らぬ人となったのです。あまりにも突然で、事業承継の準備も引き継ぎも一切できていません。それでも企業活動を止めるわけにはいきませんから、1999年1月20日、私が急きょ社長に就任し、以降、お客様やメーカー各社に助けていただきながら、何とか会社を継続させることができてきました。

もちろんお客様も大事ですが、それ以上に私が感謝したいのは社員の皆さんなんです。一人ひとりの社員が喜べる会社であればこそ、お客様、メーカー、そして当社の3者が喜び合えるからです。

社員の日ごろの努力をねぎらう一環として、毎年、会社の全額負担で慰安旅行を続けています。

昨年(2019年)は設立60周年の節目ということもあり、北海道函館から青森県奥入瀬(おいらせ)経由で仙台まで、二泊三日の社員旅行に行きました。

今後の展望は、自社の強みにさらに磨きをかけ、専門性と付加価値をともに高めていくこと。そして何よりも社員のために、会社を存続・発展させていくのが経営者としての私の務めだと思っています。

さらに既存商品だけでなく、社会のニーズに合った商品の取り扱いにも挑戦していく考えです。

従業員紹介

吉岡香奈さん

子育てと仕事を両立できる会社を求めて

兵庫県小野市で生まれ育った私は三木高校卒業後、神戸のブライダル系の専門学校に進学しました。そこでブライダル写真の魅力を知り、卒業後は大阪の写真スタジオに就職。カメラマンとして働きはじめることになりました。

転機はその2年後です。結婚を機に、お互いの実家がある小野市に帰ることになったからです。

帰省後も仕事を続けるつもりでしたし、子どもを授かっても長く働ける会社がいいなと思いました。転職するにあたりどんな職種がいいだろうと考えると、事務職が一番長く勤務しやすいのではと思いました。

そこでハローワークで紹介いただいた三和電気商会を受けることにしたんです。面接は社長との個人面談でしたが、こちらが緊張しないように気遣いながら話してくださる社長の姿に「この会社で働きたい」という気持ちが大きくなり、ご縁あってお世話になることになりました。

事務に接客に充実した日々

入社したのは2013年6月。仕事の内容は、修理の手配や営業スタッフのサポートといった事務作業が中心です。

加えて大事な業務の一つが接客ですね。私のデスクはカウンター前にあり、来社されたお客様やメーカー様の対応をさせていただく機会が多いんです。お客様は皆さん気さくで、世間話はもちろん商品のことを教えてもらうこともしばしば……。もともと接客業に興味があったこともあり、毎日楽しみながら仕事をさせていただいています。

あと当社は年に一度、多数のメーカー様のご協力のもと、お客様を招いた大規模な展示会を開いています。この展示会は商談に加え、日ごろの感謝の気持ちをお伝えするおもてなしの場でもあるんです。

普段は電話でのやり取りだけで、この展示会で初めて顔を合わせる方も少なくありません。おもてなしの一環でおでんやお寿司をご提供したり、いろいろお話をさせていただいたりと、私自身にとっても楽しいイベントでもあるんです。

風通しがよく、フランクな社内の雰囲気が魅力

入社後の印象は、「風通しのいい会社だな」ということですね。当社の事務所はワンフロアになっていて、全部署のメンバーが見渡せます。部門を超えて相談しやすい環境で、実際に社員の皆さんは話しかけやすい方ばかり。

なかでも直属の上司である井川課長は豊富な知識と経験があり、お客様やメーカー様からの信頼が厚い方。社内でも頼られる存在です。

困った顔をしていると、さりげなく声をかけてくださったり、冗談を言いあったり。誰にでも親身になって一緒に考えてくださる姿勢と、明るい性格でたちまち周りを笑顔にしてしまうところをとても尊敬しています。

こうした社内の雰囲気は、宮崎社長がつくり出している面もあると思っています。社長は来客や打ち合わせ以外は社長室の扉をいつも開けられていて、みんな社長に相談したいことがあれば勝手に入っていきます(笑)。社員との距離の近さに入社当初はとても驚きました。

さらに社員旅行や忘年会などの親睦会も会社負担で開催してもらえるんです。

普段は全員車通勤で仕事終わりに飲みに行く機会が少ないので、お酒も入ってそれは盛り上がりますよ(笑)。

風通しの良さ、社員同士のフランクな関係性が三和電気商会の魅力だと思っています。

地元で働く良さは、子育てのしやすさ

入社して子どもに恵まれた際、当初から希望していたように働き続けたいと思いました。そこで宮崎社長に相談し、産前産後のお休みをいただいたのち、戻らせてもらうことに。

いま子どもは2歳と5歳。ふたりとも保育園に預け、仕事と子育ての両立に励んでいます。現在は育児休業制度もありますし、実際に取得中の女性社員もいます。より働きやすい環境になっていると思いますよ。

地元で働く良さのいちばんは、やはり子育て環境ですね。近くにはワーキングマザーの友人も多く、そんな彼女たちが何かと心の支えになってくれますし、親のサポートが受けられるのも有難いです。

男女問わず子育て中の社員も多く、保育園行事や子どもの急な体調不良などにも理解があり、フォローしてもらえる環境には日々感謝しています。

今後の目標としては、社長が先代から守り継いできたこの会社を、これからも地域の方々に愛される会社として発展していけるよう、一社員としてできることを丁寧にやっていくことです。

会社の顔は社長や営業の方々ではありますが、私たちの接客や電話の応対ひとつでお客様の印象って変わると思うんです。「この会社に仕事を頼みたいな」「この人と一緒に仕事をしてみたいな」――そうやってお客様に思ってもらえる会社にしたいし、私自身もそんな人材でありたいですね。

あとは仕事も子育てもとにかく楽しんでやること。とくにこれから入社される方に対しては、結婚・出産などで仕事を続けようか迷ったとき、「あの人も楽しそうにしてるからきっと自分にもできるはず」と背中を押せるような働き方をしたいと思っています。大袈裟かもしれないですが……。

文・写真/高橋武男

令和2年度 加東市商工会企業紹介PR事業

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