三和金属工業所は1964年に創業以来、主にコンクリートをハツるタガネや電動工具に差し込むブルポイントという商品からスタートして、建築部材や整備工具などを製造している企業です。三和の金属加工は多岐にわたる加工機械で『1個から製作可能』という特徴があります。
今回は代表取締役の藤原利浩さんと従業員の浦川さん・勝岡さんにお話を伺いました。
━━会社の歴史と背景を教えてください
(藤原さん)
弊社では旋盤加工やプレス加工など、鉄の塊を成形する作業を生業としています。また加工だけではなく塗装や組立も行っており、自社で一貫して製造もしています。
理由は外注加工業者に依頼すると金額が高くなり、納期や仕様変更のレスポンスも悪くなるデメリットがあります。また小ロットに対応してもらえない場合もあります。
お客様の要望におこたえしている内に、現在のスタイルになりました。
━━商品は1個から製作されているのですか?
(藤原さん)
小ロットに特化したチームがあります。実際に1個からの注文もあります。ただし、1個のみの製造は段取り替えや作業工程があるため、単価が上がってしまいます。大量注文していただく方が単価を抑えられます。
━━御社で図面から設計も行っているのですか?
(藤原さん)
基本的に設計は行っておらず、お客様が現物を持ってくるか、企画と設計をして弊社に加工依頼する形です。
弊社は多岐にわたる加工機械を取り揃えているため、社内で出来ることが多く、お客様とは一つのミーティングで様々なご提案や変更が可能です。「三和に持っていけばなんとかなる」というのを目指しています。
弊社には営業部がなく、いろいろなことにチャレンジしていました。そのうち、他の企業様から「困ったら三和に持って行ったら?」と言っていただけるようになりました。専門加工業者の場合、業者間で業者の数だけ打ち合わせも必要ですが、自社で出来る加工が多い程タイムラグやコストをなくせるのが強みです。
スタッフの得意が活かせる職場づくり
━━ホームページを拝見しましたが、Amazonで製品を販売されているのですか?
(藤原さん)
今は試しにAmazonで販売しています。弊社は企業間で取引をしているため、問屋に大量購入してもらう方が作業効率は良いのですが、自社開発品のリリースや評価を知るきっかけになればと思っています。
本格的に販売すると事務処理に時間を取られてしまうため、テストマーケティングとして知るためにやっています。
━━たしかに在庫管理は一つみても大変ですが、自社製品ができると面白いですね。
(藤原さん)
自社製品を作るためには情熱が必要ですが、社内全体でできればと思っています。もちろん、既存の業務をしながら企画を考えるのは大変です。しかし、一つでも自分の案が通って商品化すればスタッフもきっと楽しいはずです。
今は「前職で何をしていたか?」「何が得意だったか?」など、もっと社内で活かせるように検討しています。
たとえば、元塗装職人の方が、ある商品の難しいところをキレイに塗装した事例があります。「こんなやり方があったんだ!」と気づかされました。
そのスタッフに託さなければ、何も進展がなかったので経験が活かされました。さらに全員で共有すれば、他のスタッフも自分の得意を共有できるはずです。
まだ模索中ですが、できるだけスタッフ全員が楽しく仕事ができるように結果を出せたらいいですね。
スタッフ考案のイメージキャラクター
(藤原さん)
今年に入って初めて会社のイメージキャラクターが出来ました。昨今、年賀状をやめる企業さんは多いですが、裏面を見ると干支が描かれているだけの会社に対し、自社製品や社内の写真を載せている会社を比べると自分たちで発信し、アピールをして努力されているのが分かります。
私たちも「なにかできたら」と思い、キャラクターをつくることにしました。検討した結果、ペンギンになりました。3匹ではなく、鳥なので3羽(さんわ)です。
━━ああ、なるほど!
(藤原さん)
昔から三和は「作り手、売り手、買い手」の三方よしという縁起のいい言葉です。最初はいろいろ案はありましたが、できるだけシンプルな形状になりました。
今までは他の企業さんがイメージキャラクターを作っているのを冷ややかに見ていた側でしたが、実際にキャラクターを作ると愛着がわいてきます。
━━ちなみにキャラクターの名前はあるんですか?
(藤原さん)
名前は「ちす」「ひら」「えぼし」です。名前の由来は、弊社が創業したきっかけが「たがね」という商品でした。手打ちのコンクリートをはつったり、砕いたりする工具です。たがねの種類には「ひらたがね」「ちすたがね」「えぼしたがね」というのがあり、そこから名付けました。
今回のキャラクターづくりはスタッフが中心となって行いました。自分だと恥ずかしさが先行しますが、客観的になると恥ずかしさはゼロです。
そのため、どんどん前に押し出せます。あとは会社が責任を持って、スタッフをバックアップするだけです。
「仕事が楽しい」と思える職場を目指して
━━スタッフさんが活躍できるようにされているのですね。
(藤原さん)
楽しいと思うポイントは人それぞれだと思いますが、やはりスタッフが活躍できた方がいいと思います。
どうせなら、『楽しく・カッコよく』仕事がしたいですよね。自信を持って「うちはこんな仕事している」と思えるようになりたい。「仕事が楽しい」と思えたら、苦痛ではなくなるように感じるのではないかと思います。
今後は『選んでもらう会社』になるため、発信も必須と考えています。
現状、SNSは積極的に運用していませんが試しにYouTubeショートをアップしている動画はあります。マシニング加工と会長が鍛造を打っている動画です。
━━今後どのような人材を求めますか?
(藤原さん)
経験値よりもいろんなことに興味がある人がいいですね。やはり、好奇心のある人は異なる業種からの転職でも伸びしろがあります。
たとえば、興味のある人は加工中の異音で違いを聴き分けます。普段の音と違うため、コンマ何ミリ位置が違う・太さが違うというのに気がつく。興味がない人は、気がつくまでに時間がかかります。
経験すれば、いつもと違うのは分かりますが、何事にも興味がある人は気がつくのが早い。
また、加工品がどのようなターゲットに使われているか興味を持つスタッフもいました。話を聞くと、「じつは前職でチラシを作っていました」とか言われて納得しました。今まで働いてきた経験を活かせる人が頼もしいですね。
みんながフォローしあえる環境づくりを目指して
続いて、従業員の浦川さんと勝岡さんにお話を伺いました。初めてのインタビューで緊張した面持ちでしたが、お二人とも真面目な印象と社内での良い雰囲気が伝わりました。
━━出身はどちらですか?
(浦川さん)
出身は多可町ですが、今は結婚して加東市に住んでいます。
━━入社してどれくらいですか?
(浦川さん)
入社して8年目になります。
(勝岡さん)
僕は小野市出身で、入社してもうすぐ3年目です。
━━前職でどのような仕事をされていたのですか?
(浦川さん)
高校卒業後は製本会社に勤めていました。次に釣り針会社に3年程勤務し、その後は太陽光パネルの取り付けをしていました。
(勝岡さん)
僕は溶接業や工場の経験もいくつかあったり、ごみの産廃業者でも働いていました。
━━趣味は何ですか?
(浦川さん)
若い頃は野球が好きで社会人野球をしていましたが、結婚してからは特にありません。
━━仕事一筋なんですね。
(浦川さん)
家庭のために働いています。
(勝岡さん)
僕は野球や格闘技を見るのが好きですね。
━━入社のきっかけを教えてください
(浦川さん)
仕事でのケガで2年ほど仕事ができない状態になりました。思うように足が動かず悩んでいたところ、兄の職場が三和金属と取引先で会長と仲が良かったんです。当時、会長は若い人を探していたので紹介してもらいました。
━━大ケガをして大変でしたね。今は大丈夫ですか?
(浦川さん)
寒いと痛くなるときもありますが、日常生活には支障が出ていません。
━━回復されてよかったですね。
(浦川さん)
当時は「どうしようかな」思っていましたが何とかなりました。
(勝岡さん)
僕も前職で指を骨折して退職しました。ハローワークでたまたま見つけて、三和金属に就職しました。
(浦川さん)
インタビューに選ばれた2人はケガつながりです(笑)
━━業務内容を教えてください
(浦川さん)
今は出荷担当や段取りをしています。また、応援で機械のセットを変えるサポートをしています。元々3年前まで機械加工していましたが、年配の方が一気に退職されたため、僕が引き継ぎました。
(勝岡さん)
僕は機械加工です。
━━職場の環境を教えてください
(浦川さん)
大きい会社であれば、社長と面と向かってしゃべる機会は少ないと思います。しかし、弊社は社長が現場に近いポジションにいるため、コミュニケーションが取りやすく、社員と近いので働きやすいですね。
(勝岡さん)
スタッフはみんな話しやすい人ばかりで優しいです。
(浦川さん)
けれども工場内の環境は夏が暑く、冬は底冷えして寒いため耐える必要があります。
━━工場内にエアコンはないのですか?
(浦川さん)
空気中に油が含まれているため、エアコンが空気を吸い込んで故障の原因になります。工場内に4台あったのですが、油を吸い込んで故障してしまったため、現在は各個人ごとにスポットクーラーや赤外線ヒーターを使っています。
━━寒暖差さえ耐えられたら、働きやすい会社なのですね。
(浦川さん)
面接でも職場環境については聞かれると思います。
━━仕事でどんな時にやりがいを感じますか?
(浦川さん)
段取りの指示出しで、仕事が上手く回ったときです。「ここまでに終わらせたい」というのを伝えてやってもらい、期日内に終わったときには「よくやってくれた」と思いますね。なかなか思うようにはいかないことも多いですが。
(勝岡さん)
僕は機械加工をやっていて、自分が思うように製品を作れたときはやりがいや達成感を感じますね。
(浦川さん)
一からプログラムを作ってもらっていて、僕が教えなくても一人でずっとやってくれています。
━━今後の目標を教えてください
(勝岡さん)
僕は入社して間もないため、覚えることが多いので他の機械も操作できるようになるのが目標です。
(浦川さん)
僕はみんながフォローしあえる環境づくりをするのが目標です。現状、スタッフの業務内容は固定されています。しかし、誰かが抜けると、その業務をゼロから教えないといけません。誰が入ってもスムーズに仕事ができるようにしたいと思います。
けれども、実際には難しい部分と思います。覚えることも多く、人員が少ないため教育に時間をかけると生産がストップします。みんながカバーできれば理想ですが、実際には高い目標で難しい。
━━教育には時間がかかると思います。しかし、環境作りができれば働きやすくなりますね。
━━これから新しく入社する方に向けてメッセージをお願いします
(浦川さん)
キッチリ時間通りに出社して、一生懸命働いてくれる方は歓迎です。あとは受け答えがきっちりできる、コミュニケーション能力があればいいですね。
━━仕事後にみんなで遊びにいくことはありますか?
(浦川さん)
終業時間になると自由に帰るので、遊びに行くことはありません。
━━残業はありますか?
(浦川さん)
今はほとんど残業している人はいません。
━━休暇は取りやすいですか?
(浦川さん)
他の企業に比べたら休みやすいと思います。月曜日の朝に集まって週間ミーティングしますが、そこで休みたい日を相談します。
━━働く人にとっては良い環境ですね。
会社名 | 株式会社 三和金属工業所 |
所在地 | 〒673-1442 兵庫県加東市出水638 |
事業内容 | 製造業 |
HP | https://sanwa-de-kako.com/index.html |
TEL | 0795-42-0440 |
SNS | https://www.youtube.com/@sanwametalworks |
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